人事労務アラカルト

 アラカルトとは、フランス語で“alacarte”からきているらしく、コース料理やお任せ料理でなく、メニューから自分で選ぶ料理を意味するそうです。このコーナーは、その意味を込めて、そのときの人事労務の話題を肩ひじを張らずにお伝えできればと思っています。

 

稲森和夫 経営12か条!

 世の複雑に見える現象も、それを動かしている原理原則を解き明かすことができれば、実際には単純明快であるとの考えの下、「どうすれば会社経営がうまくいくのか」という経営の原理原則を稲盛の経験をもとにわかりやすくまとめたのが「経営12カ条」です。

 経営というと、複雑な要素が絡み合う難しいものと考えがちですが、物事の本質に目を向けていくなら、むしろ経営はシンプルなものであり、その原理原則さえ会得できれば、誰もが舵取りできます。

 「人間として何が正しいのか」という最もベーシックで普遍的な判断基準に基づいている「経営12カ条」は、業種や企業規模の違いはもちろん、国境や文化、言語の違いまでをも超えて必ずや通じるものです。

 令和6年冒頭の話題として、この稲森和夫の経営12か条を紹介するのは最近の企業の不祥事を考えるにつけても大切な教訓になるかと思い皆様ご存知だろうと思いますが敢えて話題にさせていただきました。

 この内容は、稲森和夫OFFICIAL   SITEからの引用になります。

 

第1条 事業の目的、意義を明確にする

公明正大で大義名分のある高い目的を立てる

まず事業の目的、意義を明確にすることが必要です。なかには、お金をもうける、家族を養うといった理由で事業を始めた人もいるでしょう。しかし、それだけでは多くの従業員を糾合することは難しいはずです。事業の目的は、できるだけ次元の高いものであるべきです。言葉を換えれば、公明正大な目的でなければならないのです。

従業員に懸命に働いてもらおうとするならば、大義名分がなければなりません。崇高な目的、大義名分がなければ、人間は心から一生懸命になれないのです。創業間もない頃、「事業の目的は何か」という問題に遭遇しました。従業員から「将来の待遇を保証しなければ、我々は会社を辞める」という要求を突きつけられたのです。

三日三晩かけてとことん話し合う中、企業を経営する真の目的は、現在はもちろん将来にわたって従業員やその家族の生活を守ることにあると気づかされました。同時に経営とは、経営者がもてる全能力を傾け、従業員が物心両面で幸福になれるよう最善を尽くすことであり、企業は経営者の私心を離れた大義名分を持たなくてはならない、という教訓を得ました。

公明正大な事業の目的や意義があってこそ、従業員の心からの共感を勝ち取り、全面的な協力を得られます。また、経営者自身も堂々と胸を張り、全力投球できるようになるのです。

 

第2条 具体的な目標を立てる

立てた目標は常に社員と共有する

経営者は、組織が何を目指すのかというビジョン、目標を高く掲げ、集団に指し示さなければなりません。組織をどういう方向に導くのかという方針を出し、その先にどのような未来があるのかという展望を描き、さらにその実現に至る具体的方策まで指し示し、人々を導くことが求められるのです。

目標を実現する過程では様々な障害がありますが、どのような障害が立ちふさがろうと、強い意志で組織を一つに束ね、その思いと力を結集して目標を達成するのです。

ビジョンは夢あふれるものでなければなりませんが、同時に、実現するための計画を具体的に立てなければなりません。大切なことは、それが空間的、時間的に明確なものであるということです。現場の最小単位に至るまで明確な目標数字があり、さらには一人ひとりの社員が明確な指針の下、具体的な目標を持たなければなりません。また、一年間の通期目標だけでなく、月次の目標も明確に設定しなければなりません。

 

第3条 強烈な願望を心に抱く

潜在意識に透徹するほどの強く持続した願望を持つこと

物事は心に描いたとおりに成就します。何としても目標を達成したいという願望をどれだけ強く持つことができるかが、成功の鍵です。特に、潜在意識を駆使すれば、経営を大きく伸ばすことができます。

潜在意識とは、通常は意識の下に沈み込んでいて、自分の意のままにコントロールできない意識のことです。潜在意識は大きな容量を持ち、生まれてから死ぬまでに体験し、見聞し、感じたこと全てが蓄積されていると言われています。

潜在意識を自在に活用するには、繰り返し強く思い続ける必要があります。自分が立てた経営目標を、朝起きてから寝るまで四六時中考える。そのように強く持続した願望は、その人の潜在意識に入り、自分をその方向へと自然に向かわせます。

目標が難しく、高ければ高いほど、実現するためには強く持続した願望を抱き続ける必要があります。ぜひ目標を高く掲げ、その実現に向け、強く持続した願望を持ち続けていただきたいと思います。

 

第4条 誰にも負けない努力をする

地味な仕事を一歩一歩堅実に、弛まぬ努力を続ける

京セラを創業した当初は、夜を日に継いで昼夜を分かたず仕事に励みました。従業員からは「こんな働き方では長続きしない」という声が上がりました。しかし私は幹部社員に、「経営をマラソンに例えるなら、我々は後発の素人集団のようなものだ。素人が普通のペースで走ってもさらに距離を離されてしまう。たとえ短い時間であっても全力で走り、勝負を挑みたい」と話し、100メートル走のスピードでマラソンを駆け抜けるような努力を続けてきました。

多くの経営者に「努力をしていますか」と尋ねると、一様に「自分なりに努力をしています」という答えが返ってきます。しかし競合企業がそれ以上の努力をすれば、競争に敗れてしまいます。「誰にも負けない努力」でなければならないのです。

「誰にも負けない努力」は、日々絶え間なく続けなければなりません。どんな偉大な仕事も、一歩一歩の弛まぬ努力の積み重ねからできていることを、決して忘れてはならないのです。

 

第5条 売上を最大限に伸ばし、経費を最小限に抑える

入るを量って、出ずるを制する。利益を追うのではない。利益は後からついてくる

経営の常識として、売上を増やせば経費もそれに従って増えていくものと考えます。

しかし、それは誤った常識です。売上を最大限にし、同時に経費を最小限に抑える創意工夫を、徹底的に続けていく姿勢こそが高収益を生みます。

そのように「売上最大、経費最小」を実践するには、業績が組織ごとにリアルタイムに明確にわかり、かつ全員が経営に参加できる管理会計システムがなければなりません。「アメーバ経営」は、そのために、京セラの創立間もない頃から、苦心してつくりあげた仕組みです。組織の業績向上に貢献するシステム、仕組みを構築することも、経営者の大切な役割の一つです。

 

第6条 値決めは経営

値決めはトップの仕事。お客様も喜び、自分も儲かるポイントは一点である

値決めは、製品の価値を正確に判断した上で、製品一個当たりの利幅と、販売数量の積が極大値になる一点を求めることで行います。またその一点は、お客様が喜んで買ってくださる最高の値段にしなければなりません。

こうして熟慮を重ねて決めた価格の中で、最大の利益を生み出す経営努力が必要となります。その際には、材料費や人件費などの諸経費がいくらかかるといった、固定概念や常識は一切捨て去るべきです。仕様や品質など、与えられた要件をすべて満たす範囲で、製品を最も低いコストで製造する努力を、徹底して行うことが不可欠です。

値決めは、経営者の仕事であり、経営者の人格がそのまま現れるのです。

 

第7条 経営は強い意志で決まる

経営には岩をもうがつ強い意志が必要

経営とは、経営者の「意志」が現れたものだと考えます。こうありたいと思ったら、何が何でも、その目標を実現しようとする、強烈な意志が必要です。

そのとき大切なことは、従業員の共感を得ることです。もともと、経営目標は経営者の意志から生まれるものですが、同時にその目標が、従業員全員が「やろう」と思うようなものにする。いわば、経営目標という経営者の意志を、全従業員の意志に変えることが必要です。

 

第8条 燃える闘魂

経営にはいかなる格闘技にもまさる激しい闘争心が必要

小さな企業であっても、経営者は従業員を守るため、すさまじいばかりの闘魂、闘志を持って企業間競争に臨まなければ、勝負になりません。そのような「絶対に負けるものか」という激しい思いが必要不可欠です。

柔弱でケンカをしたこともなく、闘魂のかけらも見受けられない人でも、経営者となった瞬間、従業員を守るために敢然と奮い立たなければ、信頼は得られません。

 

第9条 勇気をもって事に当たる

卑怯な振る舞いがあってはならない

「勇気」は、物事を判断するときに必要となります。私は、「人間として何が正しいのか」という原理原則で判断すれば誤りはないと考え、それを貫いて経営してきました。

もちろん原理原則で結論を下したことで、自分に災難が降りかかってくることがあります。また、人から誹謗中傷を受けることもあります。それでも、会社のために最もよかれと思う判断を断固として下す。それが真の勇気を持った経営者の姿です。

 

第10条 常に創造的な仕事をする

今日よりは明日、明日よりは明後日と、常に改良改善を絶え間なく続ける。創意工夫を重ねる

現在の自分の能力で、できるできないを判断していては、新しいことなどできるはずがありません。「今はできないものを何としてもやり遂げたい」という強い思いからしか、創造的な事業、創造的な企業が生まれることはないのです。

強い思いのもと、日々連綿と重ねる絶えざる創意工夫の道の先にこそ、創造的な事業があり、独創的な企業が存在します。

 

第11条 思いやりの心で誠実に

商いには相手がある。相手を含めて、ハッピーであること。皆が喜ぶこと

思いやりは、「利他の心」とも言い換えられます。つまり、自分の利益だけを考えるのではなく、自己犠牲を払ってでも相手に尽くそうという、美しい心のことです。ビジネスの世界においても、この心が一番大切です。

「情けは人のためならず」というように、思いやりは巡り巡って自分に返ってきます。相手を大切にし、思いやる「利他」の行為は、自分たちが損をするように見えても、長いスパンで見れば、必ずすばらしい成果をもたらしてくれるのです。

 

第12条 常に明るく前向きに、夢と希望を抱いて素直な心で

明るさを秘めた、前向きでひたむきな努力は、長いスパンで見れば必ずや報われます。自然は、そのようにこの世界をつくっているのです。

このことを、私は「宇宙の意志と調和する」と表現しています。美しい心と思いやりに満ち、謙虚で感謝を忘れず、素直な心を持って努力を重ねる。そのように善きことを思い、善きことに努める人々の運命は必ず開けていく、と魂の奥底から信じています。

 

 

 

 

 

男性の育休“過去最高”しかし・・・

 7月31付のNHK NEWSWEBによると男性の育児休業取得率 過去最高の約17%も目標には大きな開きというタイトルでこのニュースが取り上げられていました。そこで、今回の人事労務アラカルトについては、この話題を紹介しつつ、その原因と背景について考えてみたいと思います。

企業などで働く男性の育児休業の取得率は、昨年度、およそ17%と過去最高になったことが厚生労働省の調査でわかりました。ただ、政府が2025年までの目標とする50%までは開きがある状態です。

過去最高の17%も2025年の目標は50%

この調査は厚生労働省が毎年行っているもので、去年10月に全国の3300余りの事業所から回答を得ました。
それによりますと男性の育休の取得率は17.13%で、前の年に比べて3.16ポイント増え、過去最高となりました
女性の取得率は80.2%と4.9ポイント低下しました。
 

 企業などの男性の育休取得率は今の方法で記録を取り始めた1996年度には0.12%でしたが、その後、上昇傾向が続き、2017年度には5%を超えました。
2019年度から2020年度にかけては7.48%から12.65%へと5ポイント余り増えて過去最大の伸び幅となりました
 昨年度は17.13%と前の年の13.97%に比べて3.16ポイント増え、過去最高となっています。
ただ、政府は男性の育休取得率の目標を2025年までに50%、2030年までには85%に引き上げるとしていて、まだ、目標までは大きな開きがある結果となりました。

取得率「金融業・保険業」が最高 「卸売業・小売業」が最低

 

 男性の取得率を産業別に見ると「金融業・保険業」が最も高く37.28%、次いで「医療・福祉」は25.99%、「生活関連サービス・娯楽業」は25.53%となりました。

 取得率が最も低かったのは「卸売業・小売業」で8.42%、次いで、「宿泊業・飲食サービス業」で9.06%となりました。

企業規模大きいほど取得率高い傾向

 また、今年度から年1回の公表が義務づけられた従業員1000人を超える企業などのうち、調査に答えた1400社余りの取得率は46.2%となり、企業の規模が大きいほど取得率が高い傾向があることがわかりました。

 対象の企業の男性の育休取得日数の平均は46.5日でした。

 厚生労働省は「男性の育休取得の機運は一定程度、醸成されてきたが、女性に比べると低い水準だ。あらゆる政策を動員して、男性が希望どおり育休を取得できるよう進め、男女ともに仕事と育児を両立できる環境づくりを進めていきたい」としています。

 

男性従業員147人中122人が育休取得の企業も

 東京・品川区のITサービス会社では、男性従業員の育休取得率が80%台にまで上昇したということです。

 この会社では2018年度に実施したアンケート調査で男性従業員の80%以上が「育休を取得したい」と回答したものの、このうちのおよそ70%が「実際に取得する自信はない」と回答していたということです。

 このため、取得率100%を目指すと社長が宣言したうえで、対象となる従業員や上司に対して、個別に育休の取得をすすめるほか、不安を解消するためのセミナーを開催するなどして、サポートを強化したということです。

 この結果、昨年度に子どもが生まれた男性従業員の147人のうち83%にあたる122人が育児休業を取得したということです。

 また、男性の育休の平均取得日数も2020年度は17日でしたが、昨年度は37日だったということです。

 ことし、1か月の育休を取得した松本直さんは「社長が宣言をしたことで、みんなが育休を取るものなのだと感じられて後押しされました。会社のことが好きになったきっかけにもなりました」と話していました。

 日立システムズの人事総務本部ダイバーシティ&エンゲージメント推進室の藤澤国彦部長代理は「育休を取る社員の仕事をみんなでシェアして替えが効くようにしていくことが大切で、育休をとることに後ろめたさを感じないよう引き続き従業員のサポートをしていきたい」と話していました。

 

男性の育休を後押しするために

 政府は少子化対策として男性、女性とも仕事と家事育児を行う「共働き・共育て」を定着させるために、男性の育休取得を後押しする政策を強化しています。

 去年10月には「産後パパ育休」制度が創設されて、男性は子どもが産まれたあと8週間以内に4週間まで休みを取得することができ、2回に分けて取ることも可能になりました。

 給付の面では両親ともに育休が取得できるよう、現在67%となっている育児休業給付の給付率を2025年度から8割程度に引き上げ、手取り収入が変わらないようにするとしています。

 給付率の引き上げは両親ともに出産後の一定期間、育休を取得した場合で、最長4週間を限度として検討が進められることになっています。

 また、中小企業が育休取得の体制を整備する際や業務を代替する社員に応援手当などを支給する場合の助成の拡充などを検討するとしています。

 現在、従業員数が1000人を超える企業に義務づけられている、男性の育児休業の取得率の公表を従業員数が300人を超える企業まで拡大する方向で検討が進められています。

育休を取得しない理由は

 厚生労働省がことし3月に公表した調査では男性の正社員が育休を取得しない理由を複数回答で聞いたところ、最も多かったのは、「収入を減らしたくなかったから」で39.9%でした。

 

「職場が育休を取得しづらい雰囲気だった」または「会社や上司、職場の育児休業取得への理解がなかったから」が22.5%、「自分にしかできない仕事や担当している仕事がある」が22%、「残業が多いなど業務が繁忙であった」が21.9%などとなっています。

 男性が育休を取得しても短期間にとどまり、家事や育児に十分な時間をさけない、いわゆる「とるだけ育休」も懸念されるとしています。

 厚生労働省が行った2021年度の調査では育児休業は女性のうち95%が6か月以上取得していたのに対し、男性は「5日未満」が25%、「5日以上2週間未満」が26.5%で2週間未満の取得が半数余りを占めました。

 

“人繰りに余裕ない” 中小企業の実情は

 中小企業からは大企業ほど人繰りに余裕がないため、長期間の育休は取得しづらいのが実情だとする意見が聞かれました。

 日本商工会議所などが去年全国の中小企業およそ6000社を対象に行なった調査では、「育休を取る人の代わりがいない」と回答した企業が52.4%と半数を超えました。

 また「採用難や資金難で育休時の代わりの要員を外部から確保できない」が35.7%、「男性社員自身が取得を望まない」は28.8%にのぼりました。

 東京・墨田区にある金属加工会社では、金属プレスやレーザー加工、3Dプリンターなどさまざまな機器があり、およそ50人いる従業員にはプログラミングや溶接など専門性の高い業務が割り当てられています。

 ことし1月に子どもが生まれたという37歳の男性社員は、当初は2か月ほどの育休を取りたいと考えていたものの、実際に取得できたのは有給休暇で13日、育休としては1日にとどまったということです。

 男性社員は「出産を終えた妻のサポートや子育てのためにももう少し休暇がほしかったが、仕事のポジション上、ずっと不在にはできないのでしかたがありません」と話していました。

 浜野製作所の浜野慶一社長は「会社でも仕事が属人化しないようにジョブローテーションや配置換えなどを行っているが、もともとの人数も少なく人繰りに余裕がないため、長期間、休暇を与えることは難しい。こうした中小企業は少なくないのではないか」と話していました。

 

識者「当事者の支援や保護だけでなく働き方の構造改革を」

 男性の育児休業の取得率が公表されたことを受けて、厚生労働省の委託事業「イクメンプロジェクト」のメンバーが記者会見を開きました。

 プロジェクトの委員の1人で労働環境のコンサルティングにあたるワーク・ライフバランスの社長、小室淑恵さんは「男性の家事育児の時間が長くなるほど出生が伸びていて、少子化が深刻な日本社会はさらに力強く男性育休推進を進めるべきだ。同僚や上司が普段から長時間労働で休めていないような中では男性育休の取得日数は短くなったり取得を言い出せなくなったりする。育児当事者に対する支援や保護を増やすだけでなく働き方の構造を改革することが重要だ」と話していました。

 

 以上が、NHK NEWSWEBの内容になりますが、男性の育児休業取得率が17%台になったことは非常に歓迎すべき内容ですが、それでも、政府目標である、2025年度の50%には遠く及ばないというのが実情のようです
 その原因と背景を考えた場合、先ず原因として挙げられるのは、日本的な職場風土が挙げられると思う。
それは、職場の状況を見た場合なかなか育休の申し込みができない状況、或いは、収入を減らしたくないという経済的な問題があると思われる。
 また、何よりも大きな問題は、日本経済の構造的な問題が背景にあるように思われる。長らく日本経済は男性社会が中心であり、育児の問題は女性の問題として長らく片付けられてきたことが何よりも大きいと思われる
 近年、女性活躍の中でもこの構造的な問題が、議論の中心になってきている。
 そう考えると、事例の中でも取り上げられていたが、企業のトップが率先してこの問題に対応しないとなかなか状況が進展しないようにも思われる。
 いずれにしても中小企業もこの取り組みに参加できるような仕組みを考えていく必要があるように思われる。

男性の育児休業について! 

 今回は、男性の育児休業について話をしてみたいと思います。そもそも何故、今般男性の育児休業について大幅な改正が行われるようになったのか、その背景について考えてみたいと思います。 

 背景の一つには、子の出生率の低下があります。

出生率.bmp

 以上のグラフからも分かるように、令和元年の出生数は、87万人、第1次ベビーブームの230万人、第2次ベビーブームの200万人には遠く及びません。出生率についても、令和元年においては、1.36と現在の人口置換水準2.07を大きく下回っている現状があります。 

 次に男性育児休業の取得率の低さ、及び男性の育児休業取得日数の低さがあります。

育休取得率.bmp
育児休業の取得期間.bmp

 以上のとおり、男性の育児休業取得率は、女性に比べて著しく低く、令和2年ようやく2桁の12.65%になったのに対し、女性は、80%台で推移し、育休を取るのは最早常識になっています。 

 又、取得日数についても女性は8月以上取るのは70%以上であり、当たり前の状況になっています。これに対し、男性の場合は、2週間以内の取得日数は80%以上となっており、男性の育児参加が遅れている状況が見受けられます。 

 それでは何故男性の育児参加が遅れているのか

男性の育児休業取得の課題.bmp

 御覧のように、事業所サイドから見た場合、代替要員の確保の問題、男性自身に育児休業を取る意識がないと感じている問題があります。 

 一方従業員サイドから見た場合、職場がそのような雰囲気でない。社会全体の認識の問題、キャリア形成において不利になるという問題等、これらが課題となって男性の育児参加が遅れているという結果になっています。 

 また、男性の家事育児労働時間が諸外国と比べて、著しく低く、そのことが、妻の就業継続或いは、第2子以降の出産の妨げにもなっています。このような背景のもとに今回の改正が行われたわけですが、 

 今回の改正については、以下のように3段階に分かれて実施されます。メインとなるのは、101日施行分ですが、準備段階としての41日施行分も大切だと思われます。 

育児休業施行スケジュール.bmp

 内容について順次確認していきたいと思いますが、まず41日施行分としては、雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化が必要となります。もう1点はパートさん等の有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和があります。 

 雇用環境の整備については以下の4点の措置をする必要があります。 

  研修の実施 

  相談窓口の設置 

  取得事例の収集・提供 

  制度と育児休業取得促進に関する方針の周知 

 個別の周知・意向確認については、以下の4点の措置をする必要があります。 

  制度内容の周知 

  申出先の周知 

  育児休業給付に関する説明 

  労働者が負担すべき社会保険料の負担に関することの説明 

 パートさん等の有期雇用労働者の育児・介護取得要件の緩和については、1年未満の除外要件が撤廃されること。但し、労使協定を結べば除外することも可能となっています。

 次に101日施行分としての改正内容については

 ③産後パパ休暇の創設

  育児休業の分割取得について以下の通りとなっています。 

産後パパ育休.bmp

 次に育児休業の分割取得については以下の通りとなっています。 

育児休業の分割取得.bmp

 以上の内容を図で表したのが下図のとおりとなっています。

育児休業の分割取得の図.bmp

 次に令和541日施行分として育児休業取得状況公表の義務化があります。 

育児休業の状況公表の義務.bmp

 育児休業の取得状況の公表の義務付けについては、当面対象は1000人以上の企業が対象となっていますので、中小企業におかれては、義務ではないわけですが、ゆくゆくは、公表の義務付けが始まることを念頭に置いて、概略等内容を把握して、実施に備えることも必要かと思われます。 

 この他にも1歳以降の延長、1歳以降の再取得について、開始日の柔軟化等がはかられる等育児休業がとりやすい状況に改正されています。 

 特に今回の改正は男性の育児休業取得が主要な改正になっていることに留意する必要があるかと思われます。

1.

 

約7割(68.6%)の労働者は、年次有給休暇の取得にためらいを感じており、その理由としては「みんなに迷惑がかかると感じる」(58.7%)「後で多忙になる」(42.3%)、「職場の雰囲気で取得しづらい」(36.4%)の順で多くなっている。

年次有給休暇の取得へのためらい

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